約 1,207,169 件
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/516.html
Eas to Eas 第1章 幸せはいつも遅れて来るから 「プリキュアハピネスハリケーン!はあーーーーーっ!」 「シュワシュワ~」 緑のダイヤが溶けていった。 「まあいい、今日は君に会いたい人がいるんだよ」 サウラーが姿を消し、入れ替わりに初老の男が現れた。 「あなたは……」 クラインが一人の少女を連れて4人の前に現れた。 「ご無沙汰しております。元イース、いや、今はキュアパッションですか。 あなたもわかっていた筈です。あなたの代わりはいくらでもいることを……」 「まさか……」 「紹介しましょう、こちらが新しいイース。メビウス様の御命令により戦士としての管理データは先にこの国民に複製済みです。あとは、あなたが寿命を迎えれば新しいイースの完成です」 「我が名はイース、ラビリンス総統メビウス様が僕。決められた寿命、尽きてもらう!」 言うや否やイースがキュアパッションに襲い掛かる。 突き刺さる高速の拳と蹴り。 必死に防ぐキュアパッションであったが、そのスピードに圧され、 ダメージが積み重なっていく。 ナケワメーケが常に強化されるように、イースも大幅に強化されていた。 「所詮経年劣化の進んだお前に勝ち目はない!」 「パッション!」 キュアピーチが、ベリーが、パインが窮地のキュアパッションを救おうと、 戦いに割り入ろうとするも一蹴された。 イースのパッションに対しての攻勢は止まらない。 「うん」 意を決したように、三人がピックルンを召喚する。 「はっ!」 「届け、愛のメロディ! キュアスティック、ピーチロッド!」 「響け、希望のリズム! キュアスティック、ベリーソード!」 「癒せ、祈りのハーモニー! キュアスティック、パインフルート!」 ♪ポロロロロロロロン 「悪いの悪いの飛んで行け プリキュアラブサンシャイン、フレーーーーーッシュ!」 「悪いの悪いの飛んで行け プリキュアエスポワールシャワー、フレーーーーーッシュ!」 「悪いの悪いの飛んで行け プリキュアヒーリングプレアー、フレーーーーーッシュ!」 三つの光弾がイースを目がけて一直線に飛びかかった。 さすがのイースも直撃は危険と察し、すんでのところで回避。 「完全消去は後にしておこう。まあ、バックアップはとっておくんだな」 「せつなー!」 ダメージが重なり変身が解除されたせつなに3人が駆け寄る。 「だいじょうぶ!?」 「ラブ…… やはり私の寿命は尽きてしまうの……」 というと、そのまま眠ったようになった。 (せつなはもうイースじゃないんだよ……) 「とりあえず、せつなを家で休ませよう」 「そうやな、パッションはんを運ばんと」 すると、シフォンの額が光り 「キュアキュアー、プリップー!」 4人はせつなの部屋に瞬間移動され、すぐにせつなをベッドに寝かせた。 残されたシフォンは 「わてだけおいてけぼりかいなー」 とごちて、急いでラブの家に向かった。 しばらくしてあゆみが帰ってきた。せつなの様子をみたあゆみは、 「せっちゃん、どうしたの!」 ここではさすがに真実を話すわけにはいかず、 「おかあさん、せつな、今日は疲れちゃったみたいで……」 「おばさん、慣れない環境でいろいろあったんです」 「心配はいらないけど、少し休んだほうがいいんですって」 と、この場を取り繕った。 夜になり、 「どうやらよく眠っているだけのようだし、最近は疲れていたのかも。 二人ともあんまり遅くなったらいけないから、今日はもう帰っても大丈夫だよ」 「そうね、何かあったらちゃんと連絡してね」 美希と祈里は心配に思いつつもラブの家を後にした。 「う……うん」 「起きた?」 「私、まだ生きてるのね」 「当たり前だよ!」 「さ、ご飯食べよ。お母さんがおかゆ作ったんだよ。食べられる?」 「ええ……だいじょうぶよ。ありがとう、おばさま」 せつなが一口食べる。 「美味しい……」 「でしょ? 風邪ひいたときにお母さんのおかゆを食べると元気になるんだ。 せつなが今生きているから、おかゆが美味しく感じるんだよ」 「そうね」 「あのとき、せつなの中にアカルン飛び込んで、そしたらキュアパッションに なってたんだよね」 「アカルンが、『やっと会えた』って言ってくれたの。その時のわたしも 確かに生きていた」 「そうだよ、あのときにせつなは、せつなになってたんだよ。だからもう 寿命が尽きたりはしないんだよ」 「そうね…… そうでなかったら、今まで生きている筈もないわ」 せつなに芽生え、再び強く感じられた「生きたい」という気持ちを感じたラブは嬉しく思った。 「それにしても、前にも、サウラーがせつなの影をイースのナケワメーケにして…… ラビリンスってしつこいよね」 「前よりは少なくなったけど、今でもまだ眠れないこともあるの…… 罪を重ねてきた私には悪夢が焼き付いているのね……」 「そういうことがあったら、今度はあたしのところへおいでよ。 悪い夢が飛んでいくまで、ずうっと抱きしめてあげるから!」 「ラブ……」 ラブとてせつなのすべてを知っているわけではない。 ただ、せつなが背負ったものがたとえどんなに重くても支えてあげる。 そして跳ね飛ばしてあげる。 そう決めていた。 「あたしね、思ってたの……どうして4人目のプリキュアが 幸せのプリキュアだったんだろうなって? 幸せって、愛して、望んで、信じて、最後につかむものなのかなあって。 「ハッピーエンド」って言うでしょ?どんなに苦しんでも、どんなにつらくても 最後は幸せになれればめでたしってね」 「そうね…… でも、私は皆に不幸をまき散らしていたくせに、 ラブに、みんなに、幸せを貰ってばっかりで……」 「せつなは存在そのものがあたしの幸せ。だから私がすべてを 賭けてでもせつなを取り戻すことを誓ったんだ。 それに、『真っ赤なハートは幸せの証』でしょ?なおさら、せつなが 幸せであってこそだよ」 「ありがとう、ラブ。そうであれるように精一杯、頑張るわ」 「そしたらもっと幸せゲット、だね」 晴れていくせつなの顔がラブには眩しく映った。 「そうだ、食器片づけてくるね」 「私が行くわ、おばさまに謝らないと」 「だいじょうぶだよ。今日は無理しないでいいから、ね」 「……ええ」 その夜は、ラブがずっとせつなのそばにいた。 悪夢にはうなされなずに済んだようだった。 翌朝 「おばさま、昨日は心配おかけしてすみません」 「せっちゃん、もうだいじょうぶなの?」 「ええ、一晩休めばすっかり元気になりました」 「無理しなくていいのよ。困ったことがあったら何でも言ってね」 「ありがとうございます」 放課後、いつもの公園に集まる。 「せつな、もう大丈夫なの?」 「ええ」 「せつなちゃん、なんかすっきりしたみたいね」 「私、自分で勝手にイースに呪縛されてたみたい。ラブが振りほどいてくれたの」 「愛のパワーだよ」 「え?」 再びイースが現れた。 「我が名はイース、ラビリンス総統メビウス様が僕。今日こそお前を消去する。 ナケワメーケ!我に仕えよ!」 深紅のダイヤを目の前のテーブルに突き刺した。 「ナーケワメーケー!」 「いくよ!」 4人がリンクルンを構える。 「チェインジ!プリキュア、ビーーートアーーーップ!」 「ピンクのハートは愛ある印!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」 「ブルーのハートは希望の印!摘みたてフレッシュ、キュアベリー!」 「イエローハートは祈りの印!採れたてフレッシュ、キュアパイン!」 「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ、キュアパッション!」 「レッツ!プリキュア!」 「ナケワメーケは私たちにまかせて!」 ピーチ、ベリー、パインがナケワメーケに飛びかかる。 イースとパッションが対峙し、ぶつかり合う。 今度はパッションも負けない。自信を持って攻撃を受け流し、 次第に反撃に転じる。 「馬鹿な…… 経年劣化しているだろうに」 「私はあなたには負けない。東せつな、キュアパッションよ」 「くっ」 「プリキュアトリプルキーック」 3人の連携でナケワメーケを追い詰める。 「今よ、パッション!」 リンクルンを取り出し、アカルンを召喚する。 「歌え!幸せのラプソディ!パッションハープ!」 ♪ポンポンポンポンポロロロン パッションハープに取り出したハートを装着。 「吹き荒れよ!幸せの嵐!プリキュア!ハピネスハリケーーン!」 無数のハートと羽根の嵐がナケワメーケを、イースを包む。 イースは浄化直前で離脱。 「はあーーーーーっ!」 「シュワシュワ~」 深紅のダイヤが溶けていく。 「私はほぼ完全体だったというのに、どして……」イースが去って行った。 「パッション!」 「ありがとう、みんな!」 4人が微笑みあう。 遅れてきた幸せのプリキュア・キュアパッション。 そして大切な友達・東せつな。 これからも、ずっと4人は仲間。 * クラインはメビウスに報告をする。 「メビウス様、イースの交換がどうもうまくいかないようです」 「やむを得ん、イースはもう使わずともよい。まあ、あの国民は一応まだダメージはないから、 戦士ではなく一般国民に切り替える。その代り、あれを使う準備をしておけ」 「あの方をですか……わかりました。全てはメビウス様のために」 「ただ、あれを使うにはゲージが十分ではない。やはりあのカードも準備せよ」 Eas to Eas 第2章 戦士たちよへ続く
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/526.html
【SantaClaus is comin'to town】/れいん 「つまんないなぁ~。」 つい、口から愚痴がこぼれた。 「ラブ!つまるとか、つまらないとか、そういう問題じゃないでしょう!」 あゆみが、そんな娘のおしりをバシっと叩く。 「だってぇ~、もうすぐクリスマスなのに、塾、塾、塾、テスト、テスト、テスト!だよぉ~!つまんない、つまんなぁ~い!!」 ラブはジタバタと騒いだ。 騒いでも仕方がないと分かっているが、騒がずにはいられない。迫り来る受験へのプレッシャーが、年末に向けてピークまで高まってきている。 「ほらほら、早くご飯食べちゃいなさい。みんな同じなの!受験生は勉強しなくちゃいけないの!!」 ビシっと叱りつけるあゆみに、ラブは情けない顔で、 「たはぁ~。」 と、ため息をついた。 そう。今、ラブは受験生。昨年に引き続き、今年も楽しいクリスマスはおあずけだ。 夕方、早めに夕飯を食べて、夏から通いだした塾へ行く。 「おかあさん!このコロッケ、超☆美味しい!!」 「ハイハイ。」 禁欲的にならざるを得ないこの状況。食事だけが唯一の楽しみになってしまうのは、仕方の無いことだ。 「ああああああ!もう、こんな時間??いってきまひゅ!!」 ラブは最後のコロッケを口にくわえると、塾用のかばんを持った。急いでコートをはおり、玄関へドタドタと走って行く。 「ラブ!もう、ちょっと落ち着きなさいよ。暗いから気をつけて行くのよ!!」 呆れ顔で、あゆみが言った。相変わらず騒がしくて、元気な娘。玄関を飛び出して行ったラブに、その言葉は聞こえなかった。 ラブだって、分かってはいる。忙しく、遊ぶ暇が無いのは自分だけではないことを。 美希や祈里はエスカレーター式に高校生になれるからと言って、遊んでいるわけではないのだ。 美希は夏ごろから雑誌の『専属』モデルになった。仕事は順調で忙しいようだ。 祈里も動物病院の手伝いや、将来に向けての勉強に余念がないようだった。 「でもサァ~、やっぱつまんないよね?」 ラブはせつなの顔を思い浮かべる。せつなだって、今はラビリンスの復興に従事している。 「クリスマスくらい、楽しく過ごしたいよね?」 ラブは誰にともなくそう呟いた。暗く落ち込みそうになる思考に、立ち向かうよう顔を上げる。そして、かばんを振り回しながら、元気良く塾に向かって走った。 「ラブちゃん!」 塾の帰り道、不意に呼び止められた。 「わ!ブッキー!!久しぶり!」 祈里とはメールや電話ではやり取りがあるものの、実際顔を見るのは1ヶ月ぶりくらいだ。 彼女は図書館の帰りらしい。手には分厚い、難しそうな本を抱えている。 「塾の帰り?」 可愛らしい、甘い声にほっとする。 「そうなんだよぅ~。毎日ぎゅうぎゅうに、勉強勉強でさぁ~。もう、イヤんなっちゃうんだよぅ~。」 思わず本音をポロッとこぼすラブに、祈里はクスクスと笑った。 「この前、美希ちゃんもおんなじ様なこと言ってたよ。」 「あ~、言いそう。『仕事仕事でイヤんなっちゃう!』とかデショ?」 ラブと祈里は笑い合いながら、同じ方向に歩く。 祈里といると安心した。受験へのストレスが、すっと溶けていく様に感じる。 「あ~あ、この努力が報われて、受験にちゃんと受かれるのかなぁ~。」 祈里の存在感が心地好く、ラブは更にボロボロと愚痴をこぼした。 「大丈夫だよラブちゃん!お利口にしている子の所にはサンタさんが来るって、歌にもあるし!」 隣でどんどん落ち込んでいくラブを、祈里は必死にフォローしようとする。 「…。いや、ブッキー。サンタさん来ても、受験には受かんないから…。」 ラブはツッコミながらも、居心地の良い空気に癒されていった。 『ブッキーに聞いたわよ~。』 美希から電話がかかってきたのは翌日の夜のこと。 「美希た~ん。もう、どおしよ~、英語と、数学と、国語とぉ~理科とぉ~…、全然ダメでぇ~(泣)」 ラブは美希にも泣きつく。 『…。それって全部ダメって事じゃないの?』 電話の向こうの美希が、呆れているのが分かった。 「だって昨日の塾のテスト、惨敗でぇ~!あたし、もーど~しよー!高校生になれないかも~!!」 『ちょっと、ちょっと、落ち着いてよラブ!』 美希は慌ててラブをなだめる。 『24日、アタシ仕事が休みなの。ブッキーと勉強見てあげるから。で、その後少しだけ息抜きパーティーしましょうよ?』 「本当!?」 美希の提案に、ラブは色めき立った。 本当はせつなも居たらサイコーなんだけど…。 ラブは少しそう思った。けれど、忙しい彼女がそうそう簡単に祖国を離れることはできないだろう。 美希のせっかくの嬉しい提案に水をささない様、ラブはその考えを、口には出さなかった。 『だから、それまではお利口に勉強してなさいよ?悪い子にはサンタさん来てくれないのよ!』 美希はお姉さん口調で、ラブを諭した。 「だから、サンタさん来ても、受験には受かんないんだってば!!」 12月24日。 『祈里と美希に勉強を見てもらう。』そうアユミに約束し、ラブは塾を休んだ。 1日ぐらい、束の間の休息があっても良い。アユミもそう判断し、パーティー用にご馳走を用意してくれた。 そして、ちゃっかり。自分もパート先の忘年会の参加を表明し、仕事に出掛けて行った。 ピンポーン! チャイムの音がいつもより楽し気に聞こえる。 「はいは~い!!」 ラブは元気に階段を駆け下りた。 ガチャッ!!! 勢い良く玄関の扉を開け、大好きな二人を家に招き入れる。 「いらっしゃいませ~!待ってたよぅ~。」 もちろん、あゆみとの公約通り勉強をするため、三人はラブの部屋へ直行した。 「あ、ちゃんと勉強していたんだねラブちゃん。」 「おぉ~!感心!感心!」 「だって、本当にせっぱ詰まってんだも~ん(泣)」 本気で泣きそうな、ラブの顔。美希と祈里は顔を見合わせた。 二人の知っているラブは、それほど頭は悪くない。ただ、少し要領が悪いのだ。同じ小学校に通っていた頃は、よく三人で勉強をしたので、二人は知っている。きちんと順序だてて教えれば、ちゃんと覚えられる。 美希と祈里は根気よく、ラブのペースに合わせる。そして、理解するのが難しそうな部分を重点的に、教えていった。 「ふ~ん。なるほどぉ!」 「あ、そっかぁ~!」 「ふむふむ…。」 「あ~!わかったぁ~!!」 ラブの顔が次第に明るくなっていく。 「分からないことあったら、何でも聞いてね?」 「って言うかサ~、アタシ達ってムチャムチャ教えるの上手なんじゃなぁい?」 美希も祈里も、ラブが元気になって安心した表情になった。 結局、三時間くらいみっちり勉強した後、美希が仕切るように言った。 「さあ!じゃあそろそろ休憩タイムかな?」 「「やったぁ~!!」」 三人は軽やかに階段を駆けおり、あゆみが用意しておいてくれた『ごちそう』を広げた。 一人足りなくて残念だけど。ささやかなクリスマスパーティー。 楽しい時間は瞬く間に過ぎていった。 「え~、もう帰っちゃうのぉ?」 ラブが口を尖らせる。 「長居したいのはやまやまだけど、ラブちゃん勉強しなきゃいけないでしょ?」 祈里がなだめるように、ラブの頭を撫でた。 「アタシも、明日朝から仕事だし。」 美希はいそいそとコートを着る。 「そっか。そうだよね。二人とも今日はありがとう!あたし、頑張るよ!」 ラブが元気よく宣言すると、美希も祈里もニッコリ微笑んだ。 「そうそう!そのイキよラブ!!」 「お利口に頑張るラブちゃんには、きっとサンタさん来るって、私信じてる!」 祈里の言葉に、 「サンタさんネタはもおいいよぉ~。」 そうラブは答えて、二人を見送った。 二人が見えなくなるまで手をふり、家の中に入る。 玄関を閉め、ラブは階段をのぼった。 気合いを入れて自分の部屋の扉を開ける。 ガチャっ。 「メリークリスマス!」 懐かしい声が、そう言った。 「!」 ラブはびっくりするあまり、声も出ない。 「ラブ?メリークリスマス。」 何も言わないラブに焦れたのか、彼女は顔を覗きこんできた。 「せつな…。せつなだ!」 ラブは勢いよく、せつなに飛びつく。 せつなに会えたのは、夏休みぶりだ。普段忙しい彼女に遠慮して、なかなか会うことはできなかった。 「せつなだ!せつなだぁ~!会いたかったよぉ~。」 「ラブ…。」 抱きついたまま離れないラブの髪を、せつなが優しく撫でた。 「本当は、皆で会いたかったんだけど、どうしても抜けられない会議があってね。こんな時間になってしまったの。」 「そんなに忙しいのに来てくれたの?」 ラブが顔をあげ、せつなを見る。 「美希とブッキーから連絡をもらったの。ラブが頑張ってるから、少しで良いから『ほめてあげに来て』って。」 「…サンタさんが来てくれるって、せつなの事だっんだ。」 ラブは祈里や美希が言っていた『お利口にしてたらサンタさんが来てくれる』の意味を、ようやく理解した。 「さ、じゃあ始めましょうか?」 せつながニッコリと微笑む。 「へ?何を??」 「決まってるじゃない!勉強よ!受験生には、クリスマスなんて無いのよ!」 どうやら今から、『サンタクロース』ではなく、『せつな先生』の特別講義が行われるらしい。 「ラブ、今夜は眠らせないわよ~!」 せつな先生は、ヤル気満々だ。 「たはぁ~。精一杯がんばるよぉ~。」 こうして、ラブの十五才のクリスマスは、幸せに過ぎていった。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/124.html
「ひとり占め」/◆BVjx9JFTno 部屋の天井を、 ぼんやりと見ていた。 熱を測る。 38度5分。 病院で注射を打ってもらい、 薬をもらって家に戻ってからは、 部屋で寝ている。 部屋でずっと寝ているのは、 あたしの性に合わない。 みんなと一緒に居たいけど、 まず自分の体を治さなきゃ。 我慢我慢。 少し眠っちゃったみたい。 外はもう暗い。 かすかに、台所でお母さんとせつなが 話している声が聞こえる。 普段なら、みんなでわいわいご飯食べて、 テレビ見ながらせつなと一緒に笑って、 お部屋で寝るまでおしゃべりするのに。 何か取り残されたようで、寂しい。 風邪なんて、ひくもんじゃない。 ちょっと落ち込んでいると、 ふいにドアが開き、 せつながご飯を持ってきた。 え?せつなが作ってくれたの? わは!せつなの手料理ゲットだよ! 食欲無いなんて言ってられないよ! たまには風邪ひくのもいいじゃない! 卵雑炊は、お母さんが作ってくれる いつもの味よりはちょっと薄いけど、 体が暖まっておいしい。 せつなの顔を見る。 とっても優しい表情。 「...どしたの?ラブ」 「うん、せつなの笑顔ひとり占めだなぁって」 「もう...ちゃんと治してよね。 明日、一緒に洋服見に行く約束でしょ」 ちょっと前までは、強がって、 泣きながら闘っていたせつな。 悲しかったけど、闘った。 せつなが、自分に素直になれるように。 もう大丈夫ね。 これから、いっぱい楽しいことしようね。 って、その前にあたしが風邪治さなきゃ。 薬を飲んで布団に入ると、 せつなが手を握ってくれた。 あたしの熱が高いせいか、 せつなの手はひんやりと感じる。 手を、かるく握ってみる。 せつなも、かるく握り返してくれる。 何かとっても幸せで、 涙が出そうになりながら、 あたしは、静かに眠りに落ちた。 目が覚めると、熱が下がっていた。 頭もすっきり。朝の空気が気持ちいい。 ベッドから体を起こし、 大きく背伸びをする。 あたしのスイッチが入った。 「おっはよー!」 居間のドアを勢いよく開けると、 お母さんとせつながお茶碗を並べていた。 「おはようラブ。熱下がったみたいね」 「うん!せつなのおかげで100%復活だよ!」 「ラブったらすっごく嬉しそう。何かいい夢でも見たの?」 お母さんがあたしの顔を見て笑う。 「うん!どんなのか忘れちゃったけど、 とっても幸せな夢見たんだ!」 せつなとキスする夢だったなんて 言えないよね! ラせ1-4は、せつな視点
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/96.html
せつな「そういえば美希たん…」 ラブ・美希・祈里・(たん付けだと…!) せつな「…あっ、ごめんなさい、つられて呼んじゃった…」 美希「…す、好きなように呼んでいいんだからね///」 ラブ「せつなが呼ぶとなんか新鮮だね~。 私のこともラブたんって呼んでみて!」 せつな「ラ、ラブたん…」モジモジ ラブ「く~っ可愛いよせつなぁ!」ギュッ 祈里「…あの、せつなちゃん、わ、私も…///」 せつな「え、ええ///」 せつな「ブキたん」 ラブ・美希(祈里たんじゃないんだ…) おわり
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/18.html
今日はお父さんは残業。お母さんはパートの遅番。タルトとシフォンは ブッキーの所でお泊まり。 そしてせつなは、多分図書館。最近せつなはよく本を読んでる。 こちらの事を勉強中なのだ、と彼女は笑う。新しい事に触れ、知識や経験を 増やして行くことが楽しくて仕方ない様子だ。 せつなが早く馴染んでくれればいい、美希たんやブッキーとも、もっと 仲良くなって欲しい、新しい友達も沢山出来れば嬉しい。 そうすればみんな幸せ。 そう思ってた。本当に、そう思ってたはずなのに。 いつからだろう。せつなが自分以外の人に笑顔を見せると、胸の中にチクチクと 不快感が走るようになったのは。 最初は、「あたし、ヤキモチ焼いちゃってる?らしくないなあ。」なんて、 自分に苦笑いする余裕があった。 でも、そんな嫌な気持ちをハッキリ意識したのはダンス合宿の時。 余り乗り気ではなかったせつなに、自分から「ダンスをする。」と言わせたのは ブッキー。あたしじゃなかった。 あの日、せつなを夕飯に呼びに行ったまま中々帰って来なかったブッキー。 薄暗い窓を見上げながら、ハッキリと苛立っている自分を意識した。 その後、あの時どんなやり取りがあったのか分かっても、一度心に絡み付いた棘は 無くならなかった。それどころか、どんどん増えて行く。 せつなが他の誰かの話をする度に。他の誰かに笑顔を見せる度に。 せつなは親友で家族。そしてプリキュアとして共に戦う仲間。一番近しい所にいるのは自分。 一つ屋根の下に住み、9月からは学校だって一緒。誰が見たって、 これ以上の仲良しなんていないよね? これ以上近くになんてどうやって行ったらいいの? せつなを閉じ込めて、誰にも会わせないで、自分だけのモノに。 そうでもしないとムリだよね。でもそんな事できっこないし。 もしそうしたって満足できるかどうかなんてわからないじゃん。 そこまで考えて初めて気付いてしまった。 ううん、本当はとっくに分かってた。分かってたのに知らんぷりしてた。 だって、どうしようもないもん。 こんな気持ち、せつなは困るに決まってる。でもきっとどんなに困っても せつなは面と向かって拒否できない。 今のせつなは自分が誰かを傷つける事を何より怖れて。 拒否する事であたしを傷つける事を怖れて…… でも、そんなせつなは見たくない。 61 :名無しさん@秘密の花園:2009/08/15(土) 23 22 03 ID ODfLosyp ガランとした家の中でラブは笑おうとした。 でもそれは苦い泣き笑いにしかならなかった。 (欲張りだな、あたし。) 自分勝手に嫉妬して、自分だけのせつなを欲しがって、そうはならない現実に 苛立って一人ぐるぐる馬鹿な事考えて。 せつなを独り占めしたいのに、自分から言うのはイヤ。 せつなが自ら望んでそうなって欲しい。 ラブは特別。ラブだけが好き。ラブがいれば他に何も要らない。 (そう言って欲しいんだよね。あたしは……) あたしがこんな風に思ってるなんて、せつな、知らないだろうな。 誰も気付いてないよね? だって、必死に隠してきたんだし。 閉め切った部屋は暑くて、じっとりと全身に汗が滲んでくる。 頭の中がぐつぐつと音を立て、やり場のない思いで煮詰まって行く。 (ちょっと頭、冷やそう。みんな帰ってきたら変に思われちゃうよ。) ラブはわざと冷たい水でシャワーを頭から被った。 真夏とは言え、火照った体と冷水のギャップに一瞬悲鳴をあげそうになる。 しかし徐々に冷たさに馴染むにつれ、自分のどろどろした欲望が凍えて 固まって行くようで、芯まで冷えていくのが心地良くさえ感じる。 凍てついたその固まりは決して無くなりはしないのだけれど。 冷たく凍らせておけば溶けて溢れ出る事はないはずだ。 体の感覚が無くなり、震えがきた所でラブは漸くシャワーを止めた。 髪も乾かさすバスタオル一枚でノロノロとリビングに戻る。 「ただいま、ラブ。どしたの?」 いつの間にかせつなが戻り、台所で夕飯の準備をしてた。 「シャワー浴びてたの?今日は暑いもんね。」 屈託無く笑顔を向けてくるせつなに、ラブは顔を上げる事ができない。 「ラブ?」 うつ向いたまま何も言わないラブにせつなは心配そうに近づき、 そっと肩に手を触れる。 (熱い。) せつなの肌の熱さにラブはおののき、震えた。 (ダメだよ、せつな。触っちゃダメ…。溶けちゃうよ、せっかく凍らせたのに……) 「やだ!ラブ冷たい!どうしたの?」 冷えきったラブの体にせつなは驚いて眼を見張る。 「早く服着なきゃ!何か温かい物飲む?」 世話を焼きにかかるせつなの手を、今まで無反応だったラブが不意に掴んだ。 そのままゆっくりとせつなの頬に触れ、輪郭をなぞる。 顎に指を掛け、親指で綺麗な曲線を描く唇を撫でる。 「……ラブ?」 不信気なせつなにラブはゆっくりと微笑みを浮かべる。 「ねぇ、せつな。あたしの事…好き?」 (ごめんぬ、せつな。あたし、やっぱりもう…ダメかも知れない。) 了
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/146.html
【月明かり:Moonshine】/◆BVjx9JFTno 人の気配を感じて、私は目を覚ました。 月明かりが部屋に差し込んでいるため、まだ夜中だろう。 顔のすぐ近くに目を閉じたラブの顔が横向きに見えて 驚いたが、まだ目だけ覚ました状態で体を動かしていないため ラブは気づいていないようだ。 横向きになったラブは目を閉じたまま、少しずつ近づいてくる。 目が覚めたばかりで状況が理解できていない。 寝ているのかな? でもどうして横向きなの? そもそもラブが部屋に居るのはどうして? 考えているうちに、ふわっと、唇に柔らかいものが触れた。 ラブの唇。 やわらかくて、あったかい。 頭がはっきりしてきた。 私は横向きにベッドに寝ていて、ラブがベッドの外に 膝立ちになっている状態だ。 でも、唇に触れているものを認識すると、混乱した。 ラビリンスでは、兵士としての道に振り分けられた者は 格闘以外で他人の体に触れることはほとんどなかった。 イースとしての命を失い、キュアパッションとして転生した後は 力を抜いて、自然な振る舞いが出来るようになった。 そのなかで、ラブを含めたこの世界の人間が行っている スキンシップがとても心地良いものになってきた。 それにしても... これは夢? ラブがどうして私に? でも... はっきりとわかった。 これは、 私自身が、したかったこと。 すっとラブの顔が遠のき、ゆっくりと開いたラブの目が 私の目と合った瞬間、倍近くに大きくなったように見えた。 「ちょっ!...起きてた...の?...いやー参ったなぁ...たはー!」 ものすごい勢いで焦るラブ。 「いや、あのね、何か眠れなくて、せつなが起きてたらおしゃべりでも しようかなーって思って、ベランダから入ってきたの。 でも、せつなが寝ていたから、戻ろうとしたら寝顔があんまり 可愛くて、つい、その...ごめん」 しゅんとなるラブが愛おしくてしょうがない。 「でも...せつなのこと...大好きだから...」 目を潤ませているラブを見て、胸の鼓動が速くなる。 「私も...」と言おうとしたが、声が出ない。 胸がいっぱいだと声って出ないものなのか。 こんな感覚は初めて。 ラブを私だけのものにしたい。 私をラブだけのものにして欲しい。 ひとつ、大きく息をする。 「ありがとう...」 ようやく声が出た。 私は横向きに寝たまま、 ラブの側の掛け布団を持ち上げた。 ラブがはっとした表情で私を見る。 その表情はすぐに泣き笑いのような表情になった。 ゆっくりとラブがベッドの中に入ってくる。 掛け布団を戻し、ラブと向かい合わせに寝る。 今度はラブの顔がまっすぐに見える。 月明かりが薄く差し込んでいるが、ラブの瞳が潤んでいることは よくわかった。私も多分同じ状態なのだろう。 どちらからともなく、唇を重ねる。 こんなにも、心地良いものなのか。 歯に、ラブの舌が軽く触れた。 どうして良いか解らず、歯を開いた。 ラブの舌が私の口に入ってくる。 自分の舌で、ラブの舌を軽く弾いてみる。 ラブもそれに反応して、私の舌を弾く。 弾いていたお互いの舌はそのうち絡みだし、 激しく、深く、お互いの口内を移動する。 「んっ...んふ...んんっ...ふうんっ...」 二人の息は激しくなり、鼻から息が漏れる。 私はラブの背中に手を回し、ありったけの力で 抱きしめる。ラブも同じように強い力で抱きしめてくる。 胸の鼓動はさらに大きく、激しくなる。 密着したラブの胸からも、鼓動がはっきりとわかる。 舌はさらに絡み合い、口の周りに唾液があふれ出ているが それすら気にならない。むしろそれが気持ち良い。 ラブが私のパジャマのボタンに手をかけ、 あわただしく外しだした。 私も負けずにラブのパジャマのボタンを外す。 お互い舌を絡めたまま、器用にパジャマを脱がせ合ったので 舌を絡めたまま同時に少し笑った。 パジャマの下は自分で脱いだ。 下着も一緒に脱げてお行儀悪かったが、それどころではない。 ラブも同じように脱いでいたようだ。ベッドの外にパジャマと 下着を乱暴に投げている。 お互い裸になったところで、ようやく唇を離す。 唾液が何重にも糸を引いている。 「ずっとこうしたかった...」 「私も...」 ラブも私も、肩で息をしている。それほど夢中だった。 体が火照っていて暑くなったので、掛け布団をめくった。 お互いの体が月明かりに照らされている。 「せつなの胸、とってもキレイ」 ラブが私の胸に手を伸ばす。 体中に電気が走ったようになり、「んっ」と声が出る。 「かわいい...せつな」 ラブの胸は私より小ぶりではあるものの、良い形をしていて 乳首も小さめだった。指で軽く触れてみる。 「んうっ...」ラブが声を漏らす。 「ラブもとってもかわいい...」 「せつなの先っぽ、どんどん固くなってくるよ...」 「ん..ラブだって...こんなに固いよ...」 いつしか、お互いの乳首を擦り合わせながら唇を重ねていた。 唾液が枕カバーに落ちているが、止められない。 お互いの乳首が擦れ合う度に、私の体に電気が走ったように ビクっと震える。ラブも同じように震えている。 嬉しい。 今、ラブは、私だけのもの。 私は、ラブだけのもの。 ラブが、私の足の間に足を滑り込ませてきた。 お互いの左のふとももに、お互いの性器が密着する。 「んんうううっ!...」 信じられないような快感が体中を駆けめぐる。 本能に突き動かされるかのように、腰を回して 相手のふとももに性器を擦りつける。 私のふとももから滴り落ちるほど、ラブの性器からは 愛液があふれているようだ。 私の性器も、私が腰を回す度に「くちゅっ...くちゅっ...」と 音を立てている。 熱帯夜も収まり、多少過ごしやすくなった筈の夜中だが 今は猛烈に暑く、部屋中に汗と淫靡な匂いがたちこめている。 ラブは口を離し、私を仰向けにした。 そのままラブが上から私の体中を舐める。 首...肩...乳首...脇腹...臍... 今まで一度も舌はもちろん、手ですら他人に触れさせたことは なかったため、ラブの舌が這う度に背中を反らせてしまう。 いやらしいことだとは解っているが、ラブから愛撫を受けている 喜びの方が大きい。 「せつな...一緒に気持ち良くなろ...」 下腹部から口を離したラブは、そのまま反対向きになり 私の顔をまたいで体を密着させた。 目の前にラブの性器があった。 月明かりで見るそれは淫靡に濡れ光り、ヒクヒクと動いていた。 ラブの性器からひと筋の愛液が垂れ、私の唇に落ちた。 舐め取ってみる。とてもいやらしく、愛おしい味。ラブの味。 そうしているうちに、体中にもの凄い快感が走った。 「うああああああんっ....!」 ラブが私の性器を舐めだした。 「んふ...せつなの...おいしい」 ラブの舌は時に柔らかく、時に固く、変幻自在に 私の性器を這い回る。 私もラブの性器を口に含む。 「ひゃあっ...すごいよ...」 ラブの体が跳ね上がるが、形の良いヒップに指を食い込ませて しっかりと掴んでいるので逃がさない。 ラブの性器からはとめどなく愛液があふれ出る。 舐めながら、それを吸う。愛おしい味。全部飲んであげる。 性器の下側の突起が膨らんでいる。口に含む。 「ふううううううんっ!」 ラブの体が痙攣気味に跳ねる。ここがいいのね。 次の瞬間、私の突起も同じように攻められる。 「やあああっ!」 私の体も痙攣気味に跳ねている。私のヒップもラブに わしづかみにされているため、逃げることが出来ない。 「せつなも...ここがいいのね...」 二人とも汗まみれになり、お互いの性器を貪っている。 「うううっっ....せつな...あたしもう...やばいよ...!」 ラブの体が不自然に波打ち出す。ラブの舌はそれに伴って いっそう激しく私の性器を攻め立てる。体が浮くような感覚がある。 「んんんっ...私も...何かくる...!」 「んううううううううーーーーーーっ!!!!」 「うああああああーーーーーーん!!!!」 私は不意に突き上げるような快感に襲われ、 頭の中が真っ白になった。 同時に、ラブの体も痙攣し、大量の愛液が 私の顔に降りかかった。 しばらくそのまま、ふたりとも余韻にひたっていた。 目の前にあるラブの性器はいやらしく愛液を垂れ流したまま、 痙攣を繰り返している。 ゆっくりと顔を起こしたラブがこちらを振り向く。 二人で顔を見合わせて軽く笑う。 ティッシュで顔を拭いた後、裸のまま抱き合う。 「ありがとう、せつな」 「私こそ、ありがとう、ラブ」 「くしゅんっ」 「あ、ちょっと冷えてきたね。服着なきゃ、ラブ」 「うん...でもこのままがいいな。せつなとひとつになってる」 「そうね...じゃぁこのまま布団かけて寝ようか」 「うん」 ~翌朝~ あゆみ「ラブ!まだ寝てるの!...ってあれ、いないわ。」 「せつなちゃんの部屋かしら...せつなちゃーん、入るわよー」
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/116.html
(1) 「し~んぱいないって! ……だいじょ~ぶ、美希たんのママが付いてきてくれるから! よくバーベキューやってる人がいる、あの河川敷だよ。ね、行ってもいいでしょ?」 電話越しの母に、ジェスチャー混じりの熱弁をふるうラブの姿を、せつなはじっと見ていた。 『今夜、花火やらない? なぜか、ウチに余っちゃってるのよね』 ダンスレッスンの帰り際、美希の提案に目を輝かせたラブと祈里の姿が瞼の裏によみがえる。 ラブの説明によると、美希が言うハナビはお祭りの夜に見たそれとは似て非なるものらしい。 『う~ん、きれいな光ってのは一緒なんだけど、あの時の花火よりずっと小っちゃくて、手に持ったり、床に置いたりして……。 とにかく、楽しいよ!』 今ひとつ釈然としないものの、熱心に母に頼み込むラブを見ていると、きっと胸躍るものだろうとせつなは思った。 ラブが勧めて、せつなが心を動かされなかったものは今のところ、只の一つもない。 「……うん、うん、ありがとう! 行ってきます!」 振り向いたラブの満面に浮かぶ笑顔が、せつなにはまぶしい。 「お母さん、花火に行ってもいいって! 幸せ、ゲットだよ!」 「そう」 素っ気ない返事に気を悪くする風でもなく、ラブはせつなの手を取った。 「じゃ、行こっか! ……って、タッハー! もう、こんな時間!?」 「お母さんの休憩時間まで、電話を待たなきゃいけなかったものね……」 「あそこまで、結構遠いし……。せつなぁ、こんな時こそ……」 「わかってるわ」 二人はポーチに出て戸締まりを確認し、せつなは懐からリンクルンを取り出した。 「河川敷へ」 念じた瞬間、ラブとせつなの姿が淡い光りに包まれる。 「……あ~、よう寝たら腹ァ減ったわ。……ピーチは~ん? パッションは~ん、どこでっか~?」 二階から発せられている声は、忽然と姿を消した二人の耳には届かなかった。 (2) 「あ、美希たんちの車!」 河川敷に着いたラブは辺りを見回すと、止まっているワゴン車に向かって歩を進めた。 見当通り、見慣れた影が車の近くにあって、二人に気付いた祈里が駆け寄ってくる。 「こんばんは、ラブちゃん。せつなちゃん」 「こんばんは、ブッキー」 「遅くなってごめんなさい」 律儀に頭を下げるせつなに祈里は慌てたように両手を振った。 「いいの、いいの。私は車に乗せてもらったから早く着いたんだし、花火だってまだ準備中だし」 「そう……。花火って、どんな準備がいるの?」 小首をかしげるせつなに、車の反対側から答える声がある。 「まずはマッチとローソク、それに風除け」 「あとは水を入れたバケツかしらねぇ」 蒼乃母娘が姿を現して、全員が揃ったことを互いに確認した。 「こんばんは。あなた、せつなちゃんだったわね? 改めて見るとホント可愛いわねぇ」 「は、はぁ……。ありがとうございます」 上から下まで自分を眺める視線に妙な迫力を感じて、せつなが一歩後ずさる。 「あ~っ! せつなが可愛いからってヘアメイクのモデルにしちゃダメですよ、アフロとか」 「もう、ラブちゃん、そんな昔の話なんかしちゃイ・ヤ」 じゃれ合うレミとラブの前で、せつなはかすかに眉をひそめる。 (アフロって、何?) そう思ったものの何か嫌な予感がして、せつなは質問するのを止めた。 「それじゃ、花火は車の中にもたくさんあるからジャンジャンやってね。 ジュースもあるけれど、おばさんのビールと間違えて飲んじゃダメよぉ」 「ちょっと、ママ! ママがお酒飲んじゃったら、帰りの車はどうするのよ!」 「大丈夫よぉ、代行運転を呼ぶし、ラブちゃんたちにはタクシーで帰ってもらうからぁ」 そう言いつつ、レミはいつの間にか手にしていた缶ビールのタブを開けると中身を一息にあおった。 「はぁ~、風流、風流」 「……ママのことはもう良いから、私たちも始めましょ」 ご満悦のレミを尻目に、美希は火をつけたローソクを少し傾けて、したたり落ちたロウの上に本体を固定させる。 手慣れた感じで準備を進めるラブたちを前にしつつ、自分だけが何をすればいいかわからない。 胸の奥にじわりと広がる黒い染みに、せつなは気付かないふりをした。 (3) 「わぁ……」 嘆声を漏らす祈里の側で、せつなは声もなく、手持ち花火片手にはしゃいで駆け回るラブの姿を眺めていた。 筒から溢れる色とりどりの光がラブの動いた軌跡をなぞり、闇に溶けていく。 美希が置いた小さな紙の箱から光が溢れかえって、辺りを鮮やかに照らす。 祈里が投げた環状の花火がシュルシュル音を鳴らしては、忙しく動き回って祈里自身を驚かせている。 「せつなもやってみなよ!」 ラブに手渡された棒形の花火の先端を、恐る恐るローソクの先に近づける。 パチっと音がして、手元に寄ってくる輝きの美しさにせつなは顔をほころばせた。 「どう、せつな。花火って楽しいでしょ?」 「ええ、とっても楽しい。……それに、驚いてる」 「あんまり、きれいだから?」 「うん……。それもあるけれど、こういうことを楽しいと思える自分に驚いてる」 火薬が燃え尽きて、せつなが手にしている花火から輝きが消えた。 手元に残された煤けた竹ひごを、バケツの中に入れるとジュッと僅かな音がする。 「目を灼く閃光、耳をつんざく轟音、こびりつく火薬の匂い……。それは私が不幸を集めてきた場所に溢れていたモノだから。 そんなモノからでも幸せを生み出せる、この世界の人たちは素敵だなって」 せつなが瞼を伏せても、瞳の奥にたたえた憂いは深いことがラブにはわかっていた。 「せつな……。あの頃のことを、気にしすぎちゃダメだよ」 「ありがとう。……ラブに出会う前の私なら、花火を見ても資源の浪費としか思わなかったでしょうね」 「せつな」 ラブが何かを言いかけたとき、車の方から身も世もない声が聞こえた。 「ウ~ィ、美希ちゃん、水。水ぅ~」 「ママったら、放っておいたら何本飲んでるのよ。ブッキー、悪いんだけどお水買ってきてくれる?」 「え、うん!」 駆け去る祈里の背中を目で送って、美希は花火が入った紙袋を差し出した。 「そんなワケで、ラブ、せつな。そろそろお開きにしないといけないから、シメの一本を選んで」 「うん。シメって言ったら、やっぱコレでしょ!」 ラブが手にしたのは、せつなが目にした中で最も細く、棒状ですらなかった。 「これも花火? 細い紙を縒っているの?」 「線香花火っていってね、これは静かに見守るのがイイんだ……よっ、とっ」 しゃがみ込んだラブがつまむようにして持つ、花火の先端に膨らんだ赤い玉が不安げに揺れる。 それを見た美希は苦笑混じりのため息をついた。 「とにかく、じっとしているのがコツよ。じゃ、ローソクも消すから終わったら来てね」 「う~ん、じっとしているのってニガテだけど、最後まで見たいし……」 「要は動かなければいいんでしょ」 そう言ってせつなはラブの側で膝を折ると、自らの左手をラブの肩に、右手をそっとラブのそれに重ねた。 「わわっ」 「ラブの支えになるように、私も精一杯がんばるわ」 ひやりとして、滑らかなせつなの肌の感触が伝わってラブの鼓動が高鳴る。 「顔が赤いわよ、どして?」 「な、何でもないよ~。何でも」 ラブの態度を訝しみつつも、せつなは、いつしか火花を発するようになった赤い玉をじっと見つめた。 果実のように熟し、激しく火花を散らす赤い玉の勢いは長くは続かないということが、せつなには感じられる。 存在を証明するために、我が身を焦がして得た、禍々しい刹那の輝き。 生まれ変わっても、消え去ることは無い自らの所行をせつなは思い出していた。 (4) 「せつな、せつな」 「……ラブ?」 気がつくと辺りは暗闇になっていて、耳元ではラブが自分の名を呼んでいた。 「ちょっと顔色が悪いような気がするけれど、大丈夫? 暗くなったから恐くなっちゃったとか?」 たははと笑うラブの横顔にかける言葉がない。 ラブの身体を離し、残されていた燃えかす入れのバケツのハンドルを掴んでせつなは立ち上がった。 「は~い、それじゃ今夜はここで解散。ラブちゃんたちとぉ、祈里ちゃんはこれで帰ってねぇ」 ひとしきり後片付けを終わらせた一行の前で、へべれけになったレミがラブと祈里にタクシーのチケットを渡す。 「それじゃ、また明日ね」 「お休みなさい」 美希たちに手を振って車が動き出した後、二人はしばらく無言だった。 窓外で流れていく街の灯りは先ほどまでの光のようには、せつなの心に届かない。 「あ、ここでいいです」 唐突にラブが運転手に告げて、車が止まった。ラブに引っ張られるように車から降りると、生暖かい空気が全身を包んだ。 「どうしたのよ、ラブ。家まではまだ遠いわよ?」 「ん~。少し、せつなと歩きたいな~と思って。イヤだった?」 「そんなことはないけれど……」 歩き出したラブを軽く追いかけて、隣に並ぶ。 街灯が道を照らしていたものの、人通りが少ないこの道は夜に少女が歩くのに適しているとは思えない。 やはりアカルンで、せつながそう言いかけたとき、無言だったラブが口を開いた。 「変なコト聞いちゃうみたいだけど……。せつなは、さ。暗いのが恐い?」 「本当に、変な質問ね」 「たはは、ゴメンゴメン。せつなが、そんなの恐いわけ……」 「恐いわ」 ラブの言葉を遮って、せつなが短く答えた。 「私は闇が恐い。暗いところに一人でいると、私の中に残された闇が知らない内に拡がって……。 最後には私を塗りつぶして、また、あの頃に戻してしまう気がする。私は私でなくなるのが、恐いわ」 「そっか……。じゃあ、明るいのは?」 「今夜のラブはなんだか意地悪ね……。強い光は私の過ちや弱い心を暴き立てるような気がして、少し苦手」 「う~ん、難しいモノだね……。花火の時にせつなが難しい顔してたから、何か相談に乗れないかなって思ったんだけど」 「大丈夫よ。ラブはもう、私の力になってくれている」 「えっ!?」 「ラブが、私にも幸せという光を分けてくれたから。小さいけれど、優しくて暖かい光を。この光がある限り、私は大丈夫」 「そうなんだ……流石、あたし! 正直、よくわかんないところもあったケド、せつなが幸せならあたしも幸せ!」 「ふふっ、ラブらしいわ。それじゃ、遅くなったことだし。アカルンを……」 懐を探ろうとしたせつなの手を、ラブがとっさに掴んだ。 「ううん……。歩こうよ!」 「ラブ……」 「歩こうよ、暗い道でも……時間がかかっても……二人で!」 「ええ……。そうしましょう」 つなぎ直したラブの手から伝わる温もり。また少し大きくなった、胸の奥の灯火。 (花火の光は闇に溶けてしまったけれど、この光はきっと) せつなは空いている右手で、自らの胸を軽く抑えた。 それほど速く歩いているわけでもないのに鼓動が早くなっていくのがわかって、せつなは少しだけ頬を朱に染めた。
https://w.atwiki.jp/pokepedia99/pages/324.html
ラブカス No.370 タイプ:みず 特性:すいすい(雨の時に素早さが2倍) 夢特性:うるおいボディ(状態異常が雨の時治る) 入手可能ソフト:ルビー/サファイア/エメラルド/ダイヤモンド/パール/プラチナ/HG/SS すいすい水単 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 ラブカス 43 30 55 40 65 97 サクラビス 55 84 105 114 75 52 ハンテール 55 104 105 94 75 52 フローゼル 85 105 55 85 50 115 ヒンバス 20 15 20 10 55 80 ばつぐん(4倍) --- ばつぐん(2倍) でんき/くさ いまひとつ(1/2) ほのお/みず/こおり/はがね いまひとつ(1/4) --- こうかなし --- ママンボウに進化すると噂されたが、別にそんな事はなかった。 よってしんかのきせきを持たせる意味もない。 ラブカス混乱メロメロ型配分例 覚える技レベルアップ 遺伝 混乱メロメロ型 性格:おくびょうなど 努力値:C252 S252 持ち物:きあいのタスキなど 確定技:いばる メロメロ 選択技:まもる あまごい ふぶき たきのぼり 特性すいすいで、素早さを上げいばる、メロメロで動きを封じ自爆を狙う型。 配分例 性格:おくびょう 努力値:C252 S252 持ち物:きあいのタスキ 技:いばる メロメロ ふぶき ハイドロポンプ 覚える技 レベルアップ GBA DP BW 技 威 命 タイプ 分類 PP 備考 1 1 1 たいあたり 50 100 ノーマル 物理 35 4 4 4 あまえる - - ノーマル 変化 20 12 7 7 みずでっぽう 40 100 みず 特殊 25 16 9 9 こうそくいどう - - ノーマル 変化 30 24 14 14 とっしん 90 85 ノーマル 物理 20 - 17 17 おまじない - - ノーマル 変化 30 - 31 22 みずのはどう 60 100 みず 特殊 20 28 22 27 メロメロ - - ノーマル 変化 15 40 46 31 じたばた 1 100 ノーマル 物理 15 36 27 37 てんしのキッス - 75 ノーマル 変化 10 - - 40 ハイドロポンプ 120 80 みず 特殊 5 - 37 46 アクアリング - - みず 変化 20 - 40 51 ゆうわく - - ノーマル 変化 20 48 51 55 しんぴのまもり - - ノーマル 変化 25 遺伝 タマゴグループ 水中2 孵化歩数 5120歩 (※特性「ほのおのからだ」「マグマのよろい」で----歩) 性別 ♂:♀=1:3
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1153.html
ラブ 「○○○の羽を刺してみましたコーナー! 始めるよ!」 せつな「ちょっと、ラブ。これは一体なんの騒ぎなの?」 ラブ 「え~っとね、瞬さんにもらったの。ゲームに使うと面白いんじゃないかって」 美希 「ピキピキッ……そっ、それは……」 祈里 「まさか、ボーリングの時のあれじゃ……」 ラブ 「美希たんとブッキーは知ってるの? 友達と本音で語り合える、ステキなアイテムゲットだよ!」 美祈せ「絶対に騙されてる……」 ラブ 「まずは、ブッキーからね!」 祈里 「えっ、なんでわたしから?」 ラブ 「鳥の羽だもん。動物と言えばブッキーだよね」 祈里 「それ、全然関係ないと思う……」 【祈里のターン!】 祈里 「美希ちゃんって、スタイルいいから何着ても似合うけど、センス無いなって感じることも多いの」 美希 「ガーン!」 祈里 「それに、せっかくモデルさんなのに、特定の色の服にこだわってたら意味ないと思う」 美希 「ううっ、アタシくじけそう……」 祈里 「でも、わたしは美希ちゃんのことが大好きだから、絶対にそんなことは口にしないよ」 ラ美せ「言ってるから……」 祈里 「ラブちゃんって」 ラブ 「ドキッ! なっ、なにかな?」 祈里 「世界中を愛でいっぱいにするって意味で、英語のLOVEなのよね?」 ラブ 「うん! おじいちゃんが付けてくれたの。広く世界に通じますようにって」 祈里 「とっても素敵な名前ね。でも、英語のテストが赤点ばっかりじゃ意味ないと思う」 ラブ 「おっしゃる通りです……」 美希 「次はラブよ。言い出しっぺなんだから」 ラブ 「わかった! 頑張るよ」 【ラブのターン!】 ラブ 「刺したけど、何も変わらないような……」 せつな「やっぱり……」 美希 「そんなはずないわよ!」 祈里 「じゃあ、好きなものと嫌いなものを言ってみて」 ラブ 「う~ん、嫌いなものは、『に・ん・じ・ん』くらいかな?」 美祈せ「少なっ! じゃあ、好きなものは?」 ラブ 「それならたくさんあるけど~、やっぱりせつな! 愛してるぅ~!」 せつな「ちょっと、ラブ。ふざけないで! 恥ずかしいじゃない。やだっ、頬ずりしないでったら……」 美希 「毒吐かない分だけブッキーよりマシだけど、見ていてドキドキするわね」 祈里 「美希ちゃん……。心の声が駄々漏れになってる……」 美希 「あっ、いやっ、違うのよ! これはその……」 【美希のターン!】 せつな「プスッ! 実は美希にも羽が刺さっていたのよ、ブッキー。許してあげて」 美希 「刺さってなかったわよ、せつな。フォローしてくれるのは嬉しいけど、本当に刺したら意味ないでしょ? 相変わらず頭が固いわね」 せつな「へぇ~。かばってあげたのに、そういうこと言うのね、美希」 祈里 「ふ~ん。やっぱり美希ちゃん、素で言ってたんだ?」 美希 「これは違うのっ! 今のは羽の効力で……」 ラブ 「美希たん、ブッキーとせつなのことはどう思ってる?」 祈里 「ズルイ! ラブちゃん、自分のことだけ外してる!」 美希 「ブッキーは、モデルのアタシに負けないくらい、毎日鏡を見て訓練してそうね」 祈里 「ギクッ!」 ラブ 「訓練って?」 美希 「可愛らしい笑顔とか、仕草とか、歩き方のことよ」 せつな「勉強熱心なのね」 美希 「あざといとも言うわね」 祈里 (美希ちゃん、後でお仕置き……) 美希 「せつなはズルイ! 美容もしてないのに肌綺麗だし、スッピンでも超美人だし、処理してないのに無駄○もないし!」 せつな「そんなこと、私に言われても知らないわよ……」 ラブ 「でも、せつなが街を歩いていても、美希たんほど振り向かれないよ?」 祈里 「そう言われてみれば、同じラビリンス生まれでも、隼人さんや瞬さんだと注目浴びるよね」 美希 「せつなはね……身長がないのよ。フッ」 せつな「ムカッ! これから伸びるわよ! きっと……」 ラブ 「最後はせつなだよ!」 【せつなのターン!】 せつな「私、精一杯頑張るわ!」 美希 「ゴメン、アタシは用事を思い出したので……」 祈里 「美希ちゃん、逃げちゃダメ!」 ラブ 「まさか、イースが出てきたりしないよね?」 せつな「みんなのことを語ればいいのね。行くわよ」 祈里 「ちょっと怖いけど、せつなちゃんの本音って興味あるね」 美希 「ガクガクブルブル……」 せつな「ラブも、美希も、ブッキーも、大好き。私にとって、自分の命より大切な人よ。みんなに出会えて、本当に良かった」 ラブ 「あっ……あはは、いやぁ、照れちゃうね」 美希 「茶化してごめんなさい。アタシも、同じ本音でも、もっとちゃんとしたこと言えばよかったな」 祈里 「これがせつなちゃんの本音なんて……。わたしも大好きよ!」 ラブ 「これでお開きだね。あ~楽しかった!」 せつな(ラビリンス生まれの人間には効果ないのよって、言うタイミング逃しちゃった。冗談って難しい……)
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/123.html
お気に入りの洋服。タオルにパジャマ。ラブと一緒に買った小物入れに、美希 からもらったリップと、祈里おすすめのハンドクリームを入れて。 必要なものと大切なものを全て詰め込んで、せつなはトランクの蓋を閉める。 そして、もう一度、彼女は辺りを見渡す。 綺麗に片付けられた、自分の部屋。 忘れ物は、何もない。 Departures, now 「それじゃ」 玄関を出て、せつなは振り向いた。見送りに出てきているのは、あゆみに圭太郎の二人。 「気をつけてね」 「はい」 圭太郎の言葉に、彼女はゆっくりと頷く。まだ何かを言い足りないけれど、何 を言っていいのかわからない。そんな様子を見せる彼に、 「もう、お父さんたら」 苦笑しながらあゆみは、せつなに白の帽子を手渡す。 「はい、これ。今日は暑いから」 「――――ありがとう、お母さん」 つばの広い、リボンのついた帽子。きっと、彼女が今日、白のワンピースを選 んで行くことを知っていて、それに合わせて買ってくれたのだろう。 ちょこん、とせつなは帽子を頭に乗せる。偶然にもそれは、かつて彼女がイー スと呼ばれていた頃と同じ姿。 けれどその目の輝きと、顔に浮かぶ微笑みは、イースだった頃には無かったもの。 「うん、可愛い。とってもよく似合ってるわよー」 「やだ、お母さんったら」 母の言葉に、頬を赤く染める姿も、また。 せつなはふと、見上げる。 ちょうど一年前に、この家に招かれ、桃園家の一員となった。あれから色々あ って、少しずつ本当の家族になっていって。 楽しかったな。感慨にふけりながら、せつなは目を細める。 それでも、今日が旅立ちの日であることには、変わりない。 持てるものは全て、トランクに詰め込んだ。次に戻ってくる時には、思い出を たくさん詰め込んでこよう。 「お母さん、ラブは?」 いよいよ出かけようというのに、姿を現さない彼女の姿に、せつなはあゆみに 問いかける。が、彼女は困った顔をして、二階へと続く階段を見上げるだけ。 「あの子、よっぽどせつなちゃんが行くのが嫌なのね」 「――――そっか」 思わず目を伏せるせつなに、圭太郎が言う。 「気にしなくていいんだよ。せつなちゃんが決めたことなんだから」 「お父さん......」 「そうそう。後は私達に任せて、ね?」 「お母さん......」 暖かく見つめてくる二人に、せつなはゆっくり、はい、と頷く。 本当に、素敵なお父さん、お母さん。彼女は、感謝の念を新たにする。 私、この家に来れて、良かった。 「そろそろ、時間じゃないのかい」 「あ......」 腕時計を見て、せつなは驚きの声を上げる。確かに、思っていたよりも約束の 時間に迫っていて。 「ホント。もう行かないと」 「あの、お母さん。ラブに伝えておいて欲しいことが」 「あら、何?」 少し迷った後、彼女は、本当に伝えたいことを見つけて口にする。 「行ってきます、って」 「うん。わかったわ」 ニッコリと微笑むあゆみに思いを託し、ペコリと頭を下げたせつなが彼女達に 背を向けたその時。 ダダダダッ 階段を駆け下りてくる、足音。そのまま廊下を走り抜け、こちらに向かってくる。 そして。 「せつなぁっ!!」 何も履かずに裸足で飛び出してきたラブが、振り向いたせつなに飛びついてきた。 「せつな、せつな、せつなぁっ!!」 「もう、ラブったら」 最初は驚いていた彼女の顔にも、すぐに苦笑が溢れる。ギュゥ、っと苦しいほ どに抱きしめられながらも、せつなはされるがままになっていた。 その耳元で、ラブが言う。 「行かないでよ、せつな」 「ラブ、無茶言わないの」 答えたのは、あゆみ。だがぶんぶんと首を振るラブに、困った子ね、と言いな がら溜息をつく。 「だったら――――アタシも一緒に行く!!」 「それは――――出来ないわ」 一緒に行きたい気持ちは、せつなも同じだった。けれど、それは絶対に出来ない。 だから口にする。拒絶の言葉を。 ラブも、それはわかっていたのだろう。反発はせず、ただギュッと、より一層 強く、彼女の細い体を抱きしめるだけ。 「もう、大げさよ、ラブ。二度と会えなくなるわけじゃないんだから」 その両の肩に手を置いて、せつなはラブの体をゆっくりと押しやる。抵抗せず に離れた彼女の、俯き加減の顔を覗いて、せつなは笑った。 「すぐにまた会えるわ。そうでしょ?」 「......うん」 頷くラブは、だが、泣きそうだ。 もう、しょうがないな。思いながらせつなは、今度は自分から彼女を抱きしめる。 「大丈夫。私の帰ってくる場所はここよ。そうでしょ?」 そう言った彼女の背中に、おずおずとラブは手を回し、そして。 二人の少女は、抱きしめ合う。別離を惜しむように、優しく、強く。 「そろそろ、行かないと」 どれほどの間、そうしていただろう。せつなはそう言って、ラブから身を離す。 「あ......」 遠ざかるぬくもりに思わずラブは吐息を漏らす。だが彼女は、トランクに手を やって、それを持ち、そして。 「それじゃ。行ってきます」 「行ってらっしゃい」 「本当に、気をつけていくんだよ」 あゆみと圭太郎、二人の言葉に頷いて笑った後、せつなはじっとラブを見つめる。 「ラブ」 肩に置かれた、あゆみの手。うつむいていたラブは、ゆっくりと顔を上げる。 「行ってらっしゃい、せつな......!!」 とびっきりの笑顔で彼女は、そう言った。笑え、笑え、アタシ。涙なんか、 見せちゃいけない――――!! 「ええ。行ってきます、ラブ」 応えるようにニッコリと笑顔を見せたせつなが、背を向ける。 そして彼女は、一度も背を向けることなく。 旅立って行ったのだった。 「もう、ラブったら。裸足でこんなとこまで出てきて」 そう言うあゆみの胸に、ラブは顔を埋め、思いの丈を口にする。感情のままに、 心の赴くままに。 「アタシも、行きたかった――――一緒に行きたかった!!」 まるで子供みたいね。思いながら、あゆみはそっと娘の頭を撫でた。 そして―――― 「あなたが悪いんでしょ!! テストで赤点とって、明日から補修なんだから!!」 「だってだって!! 赤点取ったら林間学校に行けないなんて知らなかったんだもん!!」 「知らなかったからって、赤点取っていいわけないでしょ!!」 「すっごく楽しみだったのに!! 高原で三日間、天体観測しながら過ごす林間学校!! せつなと一緒に行くの、ずっとずっと楽しみにしてたのに!!」 「だから普段からちゃんと勉強しなさいって、あれだけ言ってたでしょ!!」 「せつなだけ行くなんてぇぇぇ」 「自業自得でしょ。せつなちゃんはちゃんと、普段からお勉強してたもの。頑張 ったせつなちゃんには、林間学校で楽しむ権利があるんです!!」 「あぁぁぁぁぁぁっ。アタシのバカ、バカ、バカ!! アタシってば、FUKOぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 その夜。 「ラブ。起きて、ラブ」 「ん......ん? せつな!?」 「しっ。お母さん達が起きちゃう」 「ど、どうして、ここに?」 「アカルンで、戻ってきたの。またすぐに、帰らないといけないけど......」 「そうなんだ。でも、なんで?」 「もう――――ラブに会いたかったからに決まってるでしょ」 「――――クッハー!! せつな、大好きっ!! 幸せ、ゲットだよっ!!」